ポイント施策をしなくてもお客様から愛されるECサイトを作りたい

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会社の近くに、県内では有名なベーカリー・チェーンの店舗(要するに、パン屋)があります。三度のメシよりパンが好き?な僕は、比較的よくこのパン屋を訪れ、昼食や休日のブランチ用にパンやお惣菜を買うのです。

今日、このパン屋で会計をするときに、いつものようにポイントカードをスッと出すと、店員さんがこう言いました。「申し訳ございません、先月末でポイントをお付けするサービスが終了しました。」「その代わり、現在貯まっているポイントは “1ポイントあたり3円” で今回の代金から値引きさせていただきます」と。

僕はそれほどポイントを貯めこんでいなかったので、そこまで大きな金額にはなりませんでしたが、それでも今日の昼食をタダ同然で手に入れて事務所に戻ってきたのです。

いままでの磁気ポイントカードを廃止してポイントアプリ化するとか、TポイントやPontaといった共通ポイントに移行するとか、どうもそういう感じではなく、単純に『ポイント付与のサービスを全廃する』という動きのようです(というのは僕の推測で、真偽は不明)。

それではポイントが使えなくなったところで、僕がその店に行く頻度が落ちるかといえば、そんなことはないはずです。だって美味しいし、別にポイント貯めたくてパンを買っているわけではないのです。お得な生活をしたいだけなら、ファミマでTポイントでも貯めたほうがよっぽど合理的です。(そもそもコンビニで買い物してる時点で、経済的な合理性なんて放棄しているわけですが笑)

僕みたいなお客さんばかりなら、ポイント制度は継続する必要はありません。なぜならポイント制度は利益を圧迫する施策だからです。ユーザーにポイントを発行すれば(将来的にポイント利用されるという前提で)引当金として負債計上することになるので、仮にポイントを利用されなくても利益が下がるのです。

自社ECサイトのポイント施策って効果的なの?

ポイントの会計上の処理は、自社ECサイトでも同様です。

ポイント付与によって再訪率やコンバージョン率がグンと上昇するなら積極的に導入するべきだと思います。また、しばらくご無沙汰しているお客様にポイント付与することで、再購入を促すといった『休眠顧客開拓』も(CRMをきちんと運用できるなら)良いアイデアだと思います。

しかし、大きな効果も見込めないまま自動的にポイントを付与しているだけならば、経営に悪影響を与えるだけです。ポイントの利用率、主な利用層、使い道などについて定期的に効果測定し、ショップが成長するために本当に必要な施策か見極めることが大切です。

お店と顧客をつなぎとめるもの

また、ポイントを付与するということは、ポイントで顧客をつなぎとめるということです。一流のブランドと呼ばれる企業は、このような施策を行なっているでしょうか。もちろん購買状況はカルテとして管理されていて、お得意様には相応のサービスがあるものですが、それはファンサービス・おもてなしの一種であり、顧客をつなぎとめようとするための施策ではないと思います。

いままで「付与するのがあたりまえ」だったポイント施策ですが、企業がブランド化を目指していく過程で、積極的に見直していくべきでないかと思います。

お店と顧客をつなぎとめるものは、ポイントやクーポンではなく、経営理念、サービスの品質、ブレない姿勢だったりします。目先の売り上げに躍起になって、世の中のECサイトが価値のないマーケティングに走らないことを願います。

2019.07.08

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