時代をパッケージングしよう
この記事を書いた人
1976年 静岡県生まれ。CEO、ブランドマネージャー、ディレクター、コピーライター、日曜エンジニアと5足のわらじで活動中。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会『ブランドマネージャー1級資格』保有者。
先日の投稿でも紹介した書籍『ホホホ座の反省文』ですが、読み進めるほどに新しい発見と共感があり、我ながらいい買い物をしたと思っています。
この本は、デザインやマーケティングの専門書でもなければ、自己啓発本の類でもありません(分類でいえばエッセイか)。
それにも関わらず、なぜ多くの発見があるのかといえば、本書で語られているテーマが小売だったり、メディアづくりだったりすることが大きいといえます。僕らの事業にも共通しているから、「自分ごと」として読み進められるのでしょう。
出版とは時代をパッケージングすること
たとえば、『出版』についての考え方が印象的です。
今、流行っているムード。本の世界で言うと、今の流行は新刊の中にあります。かつて流行ったノリ。これは古本の中に残っています。本というのは、出版された瞬間に時代がパッケージングされます。思想やセンスがひとまずその時代で切り取られ、地球上にどすんと落とされるのです。
僕はこの文中の「出版された瞬間に時代がパッケージングされる」という表現に共感をおぼえました。
出版物は、印刷が始まってしまえば、それ以降はデザインも原稿も差し替えることはできないシビアな代物。一度パッケージングされた時代は、もはや誰にも手を加えることはできません。
そのシビアさがあるからこそ、編集者やデザイナーの仕事に妥協は生まれません。プロ意識とはそういうことです。
更新の容易さが責任を奪う?
一方、ECサイトのようなweb媒体は、良くも悪くもパブリッシングした後でデザインやコピーを容易に変更できることが特徴的です。
デザインの現場において、それがプラスに作用することもあれば、マイナスに作用することもあります。変更の容易さは、『責任』を奪いかねません。
「あとで直せばいい」という気の弛みが、ページデザインや文章のクオリティーを気づかぬうちに大きく下げているケースは多いと思います。
webサイトの媒体価値を高めよう
思い出に残る本はあっても、思い出に残るwebサイトの話はあまり聞きませんが、これこそwebの媒体価値の低さを表しているような気がします。
僕らのようなweb側の人間は、自分たちもまた『時代をパッケージングする者』として、これまで以上に責任と覚悟を強く持つべきだと思います。