学生のうちにマーケティング脳を鍛えておこう
この記事を書いた人
1976年 静岡県生まれ。CEO、ブランドマネージャー、ディレクター、コピーライター、日曜エンジニアと5足のわらじで活動中。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会『ブランドマネージャー1級資格』保有者。
昨日も書いた通り、専門学校でデザインを学んでいるNさんがインターンに来ています。5日間というインターン期間の2日目、先輩デザイナーたちと話す表情も柔らかくなってきたような気がします(人見知りな僕も見習わなければいけませんね)。
インターンってなにやるの?
Nさんに取り組んでもらうのは、『ECサイトの商品ページ制作』です。しかし、それは実在するクライアントワークではありません。つまり架空の制作案件となります。
商品ページの(1)企画、(2)デザイン、(3)実装という3つの工程を体験することで、僕らの業界の「楽しさ」と「厳しさ」を、ほんの少しだけでも味わってもらいたいと思います。
学生にクライアントワークを任せない理由
インターンというのは『職業体験』なので、学校や学生が期待するのは「実際に存在するクライアントワークのお手伝い」かもしれません。僕自身も、せっかくインターンに来てくれるなら、そういう「リアルな体験」を与えてあげたいと思うのですが、現実はとても厳しいです。
これまで多くの学生を見てきましたが、弊社基準でクライアントワークを遂行できる学生には、まだ出会ったことはありません。学生たちの実力といえば、プロのデザイナーの助言を受けながら、ようやく「ラフ」と呼べるものができるかどうかです。
僕らは『実務経験のない学生でもできるような仕事』をしているつもりはありませんし、プロである以上、そうあってはいけないと思っています。だから、インターン生にクライアントワークに携わらせることはありません。写真補正、切り抜き、小さなバナー制作といった、最小単位の仕事にしても同じことです。クライアントあっての僕たちなので、クライアントワークは軽視できないのです。
そんな事情がありながら、それでもこの世界のことは理解してもらいたいし、達成感も感じてもらいたい。学生たちの得意不得意も把握しておきたい・・。
それを実現させるためには、架空の案件を、できるかぎりリアルに挑戦してもらうことがベストだと思っています。
消費者ニーズはどこにある?
さて。Nさんは架空の商品ページを企画し、ワイヤーフレームに落とし込み、僕らにプレゼンをしてくれました。
彼女が描いたのは、有名どころのサイトを参考にしつつ、さらに若い感覚も取り入れた、なかなか個性的なワイヤーフレーム。その出来栄えに先輩デザイナーたちも感心したようです。
様々なサイトを研究しただけあって、機能面の抜け漏れがないgoodなワイヤーフレームでしたが、ただ、どうしても引っかかるところがありました。
見てくれの良さを感じさせるにも関わらず、「このページで本当にエンドユーザーが商品を購入するだろうか?」と考えると、その可能性はゼロに近いと感じたのです。
その原因は明らかでした。
Nさんは、「その商品を探している人は、どんな悩みを持っているのか?」という、いわゆる消費者ニーズをまったく意識していなかったのです。消費者ニーズの分析は、Nさんに限らず、学生たちの弱い部分だと思います。
逆にいえば、学生のうちに「マーケティング脳」をしっかり鍛えておけば、就活はもちろん、就職後の活躍まで約束されたようなものです。
マーケティング脳を鍛えるためには、毎日の過ごし方、モノの見方が重要です。今日はそんな話をさせてもらいました。
スターズデザインの重鎮、アートディテクターの八木も、20代後半まで「与えられた素材を、見映えよく組み合わせること」しかできないデザイナーでしたが、マーケティングを学んでから飛躍的に成長したものです(見出しの写真の姿勢を見れば、その余裕ぶりがお分かりでしょう笑)。
アドバイスをもとにワイヤーフレームをしっかり修正したNさん。明日からはいよいよデザイン作業です!