彼を知り己を知れば百戦殆うからず(商談相手の3パターン)

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仕事柄、いろんな企業の経営者や担当者さんから悩みを聞き、そしてお仕事(デザイン、制作)のご相談をいただきます。

見込客のタイプはいくつかに分かれます(だいたい4〜5パターンに大別できるような気がする)。今日はその中でも代表的なパターンを3つ紹介します。

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』という故事がありますが、まさに相手を知ってこそ自分たちの商機につながると考えて、分析していきたいと思います。

その1:制作知識豊富!あわよくば自分でも制作できる系

楽天ショップの経営者さん、店長さんに多い傾向。

社内にはweb知識のある人がいない状態で、店舗の出店から運用まで一人で頑張ってきたタイプです。

ホームページビルダーなどのソフトを通じて、画像作成、HTMLの基礎、ショップの更新をがむしゃらに覚えてきたので、制作の苦労を知っています。

HTML3.0〜4.0あたりの知識がベースで、CSSは苦手。

このタイプのお客様とのお付き合いでありがたいのが、前述のように「制作の苦労を知っている」こと。「できること」と「できないこと」の判断がつくため、プロジェクトの要件定義レベルから揉めることは少ないように思います。

厄介なのは、なんといっても『自分でもできる』という自尊心が強いことでしょう。

「え?そんなにコストかかるの?」「この作業だったらこのぐらいの時間でできるはずだけど」といった感じで、お客様側で工数を決めたがる傾向があります。

『自分でもできる/できない』が判断基準になってしまい、デザイナーとノンデザイナーのクオリティの違いを見失うことも。

過去の経験はリスペクトしつつ、いまサイトに足りない部分(解決しなければいけない課題)は何か、しっかりと話あっていく必要があります。

量なのか、質なのか。
主観なのか、客観なのか。

お互いに同じゴールさえ見えていれば、案件は極めてスムーズに進行するし、長く良いお付き合いに発展します。

その2:制作のことはよくわからないけど、マーケティングは全部任せろ系

上からの指示、異動などによりEC事業に取り組んでいる「担当者」さんに多い傾向。

web制作の技術というのは、よほどセンス抜群の人でもない限り、一朝一夕には身につきません。

最初は「俺でもできるだろう」ぐらいの感覚でやってみますが、思いのほか難しいし、ちょっと手を入れればデータが壊れるし・・と失敗体験を経て「餅は餅屋に」という気持ちに変わってきます。

あるいは最初から「私には無理!」と拒絶反応を起こしてしまっている人もいます(もったいないですね!)。

その代わりに、商品開発や宣伝広告といったマーケティング戦略には責任を持っているため、僕らとの役割分担は明確になります。

お互いにリスペクトを持っている状態であれば案件の進行は比較的スムーズですが、目先の売り上げに一喜一憂するあまり、デザイナーへの要求がブレていく傾向があるような気がします。

たとえば、反応率を重視するあまり「プルプル動くような趣味の悪いCTAボタン」を置こうとしたり、SEOに過剰反応して、キャッチコピーが機能訴求まみれになったり。

このセグメントのお客様には、ブランド戦略の重要性をお伝えしています。

ブランディングとはマーケティングに付加価値をあたえるもの。そこに気づいてもらえれば、僕らにとっても非常にやりやすい関係性となります。

その3:制作もネットのこともわからないから、とりあえず提案してよ系

もっとも困難なパターン。

小売業ではなく、飲食業・サービス業、あるいは製造業など「EC化がそこまで進んでいない業界」の経営者さんに多い傾向があります。

「お金は出すから好きにやっていいよ」という姿勢であれば、それはそれで面白いのですが、このセグメントのデザインへの投資意識はすこぶる低いような気がします。

「とりあえず提案してよ」というので、成功へのロードマップを描きながら、サイトに必要なコンテンツを洗い出して、いざ100万〜200万といった金額の見積もりを出すと、急にダンマリしてしまいます。

この類のクライアントは、ホームページ30万円時代(と、僕は呼んでいる)から相場情報がアップデートされていない傾向があります。

30万の投資で何千万ものリターンが手に入ると本気で思っているとしたら、その楽観的な視点は(ある意味)羨ましくもありますが、よくよく聞いてみると「知り合いの社長がECでえらく儲かっている」「セミナーでECが熱いと聞いた」「クラウドソーシングっていうのがあるんでしょ?」・・だいたいの場合、そんな「人づてなエピソード」を持っています。

このセグメントのお客様には、現実を知ってもらうことが重要です。甘い夢は見させない。

商談や打ち合わせの際に、成功例ばかりを出さず、あえて失敗した事例を多く挙げて「こういう考えだと大失敗する」ときちんと伝えます。必要があれば、データできちんと示します。

成功の目があるのは「岡田くんの話はよくわかった、じゃあどうすれば成功するか、一緒に考えてくれるかな?」と言ってくれるクライアントです。

ちょっとディスり要素が大きいセグメントですが、じつは意外と付き合いが深くなるのはこのパターン。

僕らの提案通りに成功すれば厚い信頼につながり、そのあと無条件に信頼してくれます。クチコミ効果が大きいのもこのパターンです。

いろんなお客様がいて、面白いですね。

2019.09.09

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