【共感デザインラボ】ECサイトのバナー研究 vol.2

共感デザインラボ担当の栗田です。

前回のラボでは、「ECサイト内の特集ページへの誘導バナー」を制作しました。
しかし社内で改めて議論したところ、大事なことが抜けていたと気づき、反省しました。

その大事なこととは「顧客のニーズ」です。
デザインとは「顧客のニーズを満たすための手段」であるため、ニーズをしっかり認識すべきでした。

私が前回制作したバナーは、見た目ばかりこだわってしまった結果、顧客のニーズに応えることのできないデザインに仕上がり、バナーとしての効果が繋がらないものとなってしまいました。

そこで今回は、前回の失敗を繰り返さないために、下記のようなフレームワークを用意しました。

このフレームワークを使いながら、さっそく新しいお題に挑戦してみましょう。

今回は先輩デザイナーに架空クライアントになってもらいました。
そして、インタビューの結果をフレームワークに当てはめるとこのようになりました。

Q1.クライアントは誰か?(Who)

「スターズ化粧品」という化粧品の製造・販売をしている大手メーカー

Q2.何を作るのか?(What)

【バナーの種類】
・「STARS WHITE」という美容液の広告バナー

【目的】
・商品LPへの誘導
・新規顧客の獲得

【仕様】
・サイズは1080px×1080pxで制作すること。
・ファイル形式はJPEG。

【リンク先の概要】
・自社ECサイト内の「STARS WHITE」のランディングページ

【製品特徴】
・基礎化粧品(美容液)
・シミやそばかす予防に特化している。
・美白成分、メラニンの生成を抑える成分配合。
・普通肌向けの薬用美容液。
・夜専用
・1本6000円

【想定しているターゲット】
・若いからとシミやそばかすへの危機感が薄く、油断している26~7歳女性

【ペルソナ】
田中さん(26歳女性)。職業は保育士。結婚はしておらず、実家で暮らしている。
給料は手取り16万だが、貯金や生活費、娯楽に使ったりするため、化粧品にかけられる金額は月に最高3万5千円。

地方在住のため、近くに化粧品店がなく、ドラックストアに売っているノンブランドの安い化粧品を使っているが、最近本当に効果があるのか疑問に思ってきた。

20代前半からずっと同じ化粧品を使い続けており、当時は若かったため良かったのだが、歳を重ねて肌質が変わり、合わなくなってきたのではないか?と違和感を感じ始めている。
また、毎日日に当たり続けてきた影響で、シミやそばかすが気になっており、20代前半より肌が衰えている感じがする。

Q3.どこに設置するのか?(Where)

SNSへの出稿を想定(Twitter、Instagram、Facebook)
各媒体のタイムラインに掲載される。

Q4.いつまでに完了するのか?(When)

2019/10/1掲載開始予定。
(9/30までに要納品)

Q5.なぜ必要なのか?(Why)

【クライアントの想い】
・「日本中の女性たちを綺麗にしたい」という会社のビジョンを掲げているが、現実は肌トラブルのリスクがある、安価な化粧品を使う女性が多い。
・3、40歳になった時、シミやそばかすといった肌トラブルによる後悔を防ぐため、この商品を開発した。
・安さを重視すると、肌に負担がかかる成分が入っている可能性があるため、肌トラブルの原因になる。
・歳を重ねると肌質が変わるので、年齢に見合った化粧品を使って欲しい。

【クライアントの狙い】
・地方住みや幼い子供がいるような「お店でゆっくり見れない人」がいると考え、SNS広告を使って取りこぼしを拾っていきたいと思っている。
・2週間お試しで広告を出し、どのくらい効果があるのか見てみたい。
・新規購入者を2週間で1500人、半年で1万人獲得したいと考えている。

フレームワークに当てはめることでわかる、この案件の最大のポイントは
「安価で手に入るようなノンブランドの化粧品を使っていると、のちのちシミ・そばかすで後悔する」 ということです。

そこから導き出したクライアントが解決すべき課題を一言で言うと、
「3、4年後、シミ・そばかすで悩みそうなアラサー女性を後悔させない肌にする」です。

デザイナーである私もまた、バナーデザインを通じてこの課題に向き合っていく必要があります。

そして、この課題を解決するため、下記のような仮説を立てました。

STARS WHITEを使うことで、肌トラブルの悩みはなくなると伝わるように、使用者の「自信に満ち溢れた声」を載せる。
高い効果が得られると伝わった上で、自分もこうなりたいという「期待」や「憧れ」を持ってもらう。

この仮説を元にデザインコンセプトを考えました。

  • 「STARS WHITEを使っているからもう悩まない」というニュアンスのコピーを使う。
  • 「期待」「憧れ」といったプラスのイメージを感じてもらえるように明るい色味を使い、全体的にキラキラした印象を出す。
  • 肌に関しては比較的に同年代の声の方が参考にしやすいため、ターゲットの歳に近い女性の写真を使う。

ここまで考えた結果、出来上がったデザインがこちらです。

【コンセプト】
3、4年後の肌に期待・希望が持てるようなデザイン

30代になった時の肌トラブルの悩みや不安を吹き飛ばすというベネフィットを訴求するため、自信に満ちた表情の女性をメインビジュアルにしました。
また、明るい色味を使い、キラキラした印象を出すことで「私もこうなりたい!」という将来への期待・憧れを表現しました。

まとめ

今回フレームワークを使ってバナー制作をしたおかげで、1つ1つ根拠のあるデザインにすることができたため、「ニーズを満たす」というバナー本来の役割が果たせるものができたと思います。

また、バナーデザインは小手先の技術だけではなく、顧客について知り、悩みをもっと深掘りをしていくことが大切だと改めて実感しました。

今回使用したフレームワークは、バナーデザインだけでなく、他のデザインにも使えるので、普段から使えばデザイン制作がスムーズになり、クオリティの向上が期待できると感じました!

2019.10.16

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