株式会社スターズデザイン

2017.08.08

なぜバブル世代はケツメイシを聴くのか

オカダ@CEO
日曜の午前、私は青々とした夏の水田を横目に車を走らせていました。
カーラジオから、真鍋かをりがパーソナリティーをつとめる『KOSE Your Songs Best10(TOKYO FM系列)』が流れています。
毎週かわる選曲テーマに応じて、リクエスト方式で独自の音楽チャートを作るこの番組。この日のテーマは『聴くと汗がふき出す灼熱ソングBEST10』でした。
「1位はB’zのUltra Soulでしょ」「いやいや、センチメンタルバスの曲も…」などと同乗者とワイワイ予想しながら聞いていたのですが、ラジオから流れたきたランキングは、以下の通りでした。
この結果に、同乗者は「この番組、メインのリスナー層は40代だね」と言いましたが、私もまったくの同意見でした。
ランキング1位のプリンセス・プリンセスの『世界でいちばん熱い夏』は1987年のヒット曲、ランキング3位の大黒摩季の『熱くなれ』は1996年のヒット曲です。人生でもっとも流行歌を耳にする時期が高校生のころ(15~17歳)だとすれば、今回ランキングの上位に入った曲を支持したのは、現在39歳~50歳あたりの層だと推測できます。大雑把にいえば40代です。
しかし、「ランキング2位の『君にBUMP(ケツメイシ)』は2004年のヒット曲だから、その推測はおかしいのでは?」と思う人もいるでしょう。それでも私は、メインリスナー層が40代だと確信しています。それには理由があります。

バブル世代の音楽的趣向

ここからは、すこし昔話になります。
以前のブログ記事にも書いたように、私はかつて着メロサイト運営の仕事をしていました。
私が運営していたのは、80年代の歌謡曲(ザ・ベストテンに出ていた歌手など)を中心に配信する着メロサイトで、有料会員の大半は『バブル世代』と呼ばれる年代の人たちでした。
このサイトで配信する楽曲を選定するのは、私の仕事です。1976年生まれの私は『バブル世代』ではありませんが、80年代のヒットチャートは把握していたので、ヒットチャートから穴埋めするように楽曲の種類を増やしていくことは可能でした。
しかし、懐メロのネタもつき、次のステップとして『バブル世代が好きそうなJ-POP』を増やしていくことになった時に、強烈なジェネレーションギャップに悩まされたのです。

バブル世代の欲しいものがわからない!

私は90年代のバンドブームに踊った世代なので、いまでもロックミュージックが大好きです。その方面の楽曲の配信を増やそうと考えるのですが、このサイトのなかでは驚くほどにダウンロード数が伸びません。あるいは、80年代から活躍する歌手の『新譜』の着メロを配信しても、それもまたダウンロード数がイマイチ伸びません。私の選曲が悪くなってくると、会員はどんどん離れていきます。
そんななか、2004年7月のある日のことでした。
勤務先のY社長(典型的なバブル世代の男性です)が、「おかちゃん、ケツメイシの『君にBUMP』は配信しないの?」と、鼻唄まじりにリクエストしてきたのです。
2004年当時のケツメイシといえば、オシャレ系J-POPの筆頭のようなアーティストでした。「そん10代〜20代が好んで聴くような楽曲を、バブル世代のユーザーがダウンロードするわけがない」と思いましたが、Y社長の意向を忖度するかたちで『君にBUMP』の着メロを制作、そして配信したのです。
すると、なんということでしょう。『君にBUMP』の着メロは、このサイトのなかで異例ともいえるダウンロード数を記録したのです。
10代~20代がターゲットのサイトならともかく、バブル世代からの指示を集めたことが不思議で仕方なかったことを覚えています。
そこで私は、2匹目のどじょうを捕まえようと、当時ケツメイシと人気を分けあっていたリップスライムの『楽園ベイベー』を配信しましたが、しかし数字は伸びませんでした。
他にも、同じような出来事が何度かありました。
Y社長からのリクエストで、女性シンガーのAIの『Story』を配信したら大ヒットしたことがあります。その経験から「バブル世代とR&Bは相性が良い」と思い込んだ私は、同時期に活躍していたUAやbirdなどの楽曲を配信しましたが、散々たる結果でした。

世代のバックグラウンドを理解しよう

のちに、Y社長が選択する楽曲は、私が選択するそれと比べて、とてもシンプルでわかりやすいメロディであることに気がづきました。
私の年代では『音楽的な深み、複雑さ、音の厚み』などを感じさせる楽曲のほうがウケが良く、私も無意識にそのような選択になってしまっていたようです。しかし、Y社長の年代では『とにかく単純明快、ノリがいい楽曲』のほうがウケが良いようです。
バブル世代にとって、音の深みや歌詞の文学性よりも『ディスコで初めて聴いても踊れること』に音楽の価値が優先されると気付かされました。これは、当時のカルチャーを理解しようとする姿勢が生んだ新たな発見でした。

お客様を知り、正しい価値を届けよう

このブログを読んでいる人の多くがecに携わっていると思いますが、みなさんはお客様が欲しているモノやコトを自分の感覚だけで決めつけていませんか?
あなたにとっと価値あるモノやコトが、お客様にとって本当に価値あるものとは限りません。あなたが商品ページに長々と載せているその情報は、お客様にとってまったく響かない可能性もあります。
ecの世界には、売り場のデザインよりも大事なコトがあります。まずはお客様を知り、欲しいものを理解するところから始めましょう。
それでは、また。
今日の写真:ラジオ聴きながら向かった先に、滝。
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